新型コロナについて
新型コロナウイルス感染症について 2023年5月8日より5類
目次
(1) はじめに
(2) 感染を起こす経路
(3) 潜伏期・感染可能期間
(4) 症状と経過
(5) 致死率
(6) 病原体検査
(7) 療養期間
(1) はじめに
新型コロナウイルス感染症は 以下のように経過してきました。
2019 年12 月,中華人民共和国の湖北省武漢市で肺炎患者の集団発生
2020年1 月16 日 日本国内で初めて患者が報告された
2020年4月20日 青木クリニック オンライン診療開始
2020年4月22日 茅ヶ崎医師会PCR検査開始
2020年10月16日 青木クリニック 対面発熱外来開始 院内PCR検査 抗原検査
2021年4月21日 青木クリニック コロナワクチン予防接種1回目開始
2021年5月 青木クリニック コロナワクチン予防接種2回目開始
2021年12月4日 抗ウイルス薬 ラゲブリオ 特例承認
2022年1月19日 青木クリニック コロナワクチン予防接種3回目開始
2022年2月10日 抗ウイルス薬 パキロビッドパック 特例承認
2022年7月 青木クリニック コロナワクチン予防接種4回目開始
2022年11月 青木クリニック コロナワクチン予防接種5回目開始 オミクロン対応
2023年5月8日 2類より5類に変更になる
2023年5月8日 コロナワクチン令和5年春開始接種がはじまる オミクロン対応
2023年9月 コロナワクチン令和5年秋開始接種がはじまる予定
新型コロナウイルス感染症が 始まって3年経ちます。
当初 致死率は6%であったのが 今は0.2%程度に低下してきました。
(2)感染を起こす経路
飛沫感染、エアロゾル感染(空気感染)が主体と考えられる。なので 換気が予防手段として重要である。
ウイルスを含む飛沫などによって汚染された表面からの接触感染は かなり低い
(3)潜伏期・感染可能期間
潜伏期は1 ~ 14 日間であり,曝露から2-3 日程度で発症することが多い.発症前から感染性があり, 発症から間もない時期の感染性が高い。感染可能期間は発症2 日前から発症後7 ~ 10 日間程度と考えられている. なお,血液,尿,便から感染性のあるSARS-CoV-2 を検出することはまれである.
新型コロナウイルスの感染性は とても厄介です。NHK BS1スペシャル 2020/6/27 見えざる敵を観る ミクロの目で迫る新型コロナウイルスの正体 より引用します。
季節性のインフルエンザでは 感染し 発熱などの発症をしてからウイルスを他人に撒き散らすようになるので インフルエンザなどでは 自分が発熱して具合が悪くなれば 自粛することで他人への感染予防になっていました。
同じコロナウイルスのSARSでは 感染し 発熱などの発症をして1週間程度経過してからウイルスを他人に撒き散らすようになる。
下図のように新型コロナウイルスは 感染して5日程度で発熱などの症状が出て発症するが なんとその発症の2日前からウイルスを他人に撒き散らすようになります。こうなると 全く無症状の人が新型コロナウイルスを撒き散らかしているので 自分が発熱して具合が悪くなれば 自粛することで他人への感染予防になっていたことが 通用しません。
このような発症前に 感染性のピークがあるという感染症は いままでに聞いたことがありません。本当なの?と思いますが 国内のクラスター事例でも 報告されています。 国立感染症研究所 2020年8月13日 クラスター事例集。
(4)症状と経過
初期症状は インフルエンザや感冒に似ており,この時期にこれらとCOVID-19 を区別することは困難である.
※ 新型コロナウイルス感染症を疑わせる症状を以下に示します。
(1) 発熱
(2) 風邪の症状(頭痛、喉の痛み、咳、痰、鼻水)
(3) だるさ、筋肉痛、息切れ、においがわからない、味がわからない、目の充血
(4) お腹の症状(食欲低下、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛)
2020年春以降 今までに当院で新型コロナウイルス感染症と診断した患者さんの症状は (1) 発熱 + (2)(3)(4)の症状のどれか でした。
2022年末からは 発熱がなくて 喉の痛みだけで 抗原検査陽性になった方もいらしゃいます。
(5)致死率
新型コロナウイルス感染症は やっかいな病気なのはわかりますが かかったらみんな死んでしまうの?
どれぐらいの人が 亡くなってしまうの?
冷静に事実を踏まえて対処方法を考えるには とても重要な指標だと思います。
調べてみました。
コロナ致死率 日本2022年夏 (日経新聞 2022/12/21)
ざっくり覚えるには 60才未満 0.01%(1万人に1人) 60-70才 0.2%(千人に2人) 80才以上 2%(100人で2人)
上記で示すように 新型コロナウイルス感染症の致死率は インフルエンザの致死率とおなじになりました。
これを根拠として 政府は2023/5/8より 新型コロナウイルス感染症を2類から5類にしようとしているものと思われます。
ちなみに他の感染症の致死率は インフルエンザ0.1% スペイン風邪 2.5% SARS 10% 鳥インフルエンザ 60%、エボラ出血熱 60-90%です。
振り返ると2020年8月の致死率は 2022年夏よりもかなり悪かったです。
(6)病原体診断
感染が疑われる者に対しては,喀痰,気道吸引液,肺胞洗浄液,鼻咽頭ぬぐい液,唾液ならびに剖検材料などを用いて,ウイルス分離または病原体遺伝子検出,抗原検出を行い,陽性となった場合に確定診断となる(抗原定性検査の検体は鼻咽頭ぬぐい液のみ). 検査感度には限界があるため,臨床像と合わせて総合的に判断すべきである.
検査法別の施行時期
遺伝子増幅検査(PCR 法,LAMP 法)
SARS-CoV-2 に特異的なRNA 遺伝子配列をRT-PCR 法などにより増幅し,これを検出する検査法である.感度が高いが,短所として,検査時間が長い(1 〜5 時間),専用の機器および熟練した人材が必要,高コストなどがあげられる。
抗原検査
抗原検査は,ウイルスの抗原を検知し,診断に導く検査であり, PCR 検査とともに確定診断として用いることができる 。
酵素免疫反応を測定原理としたイムノクロマト法による,鼻咽頭ぬぐい液中に含まれるSARS-CoV-2 の抗原を迅速かつ簡便に検出するものである.特別な検査機器を要さない.また,簡便かつ短時間(15 〜 30 分間)で検査結果を得ることができ,本キットで陽性となった場合は,確定診断とすることができる.
陰性の場合であって,臨床経過から感染が疑われる場合,または症状発症日および発症後10 日目以降の者の場合は,確定診断のため,医師の判断においてPCR 検査などを行う必要がある.
新型コロナウイルス抗原測定キット「クイックナビ-COVID19 Ag」
<新型コロナウイルス感染症の病原体検査感度>
遺伝子増幅検査(PCR 法,LAMP 法)、新型コロナウイルス抗原測定キットは よい検査方法ですが いかなる検査にも感度には限界があります。検査の仕様を以下に示します。
参考1:厚生労働省 抗原検査の活用に関するガイドライン(5月13日付・自治体向け事務通知、別添資料)、厚生労働省医薬・生活衛生局5月13日付 「新型コロナウイルス感染症診断薬の承認について」
参考2:神奈川県医師会5月12日付「 PCR検査の特性と限界」
参考3: Fang, Y. et al. Radiology. 2020 Feb
次のように 偽陰性、偽陽性の事例があります。
<偽陰性>
芸能人の方で 抗原検査を2回受けて陰性で PCR検査をうけて陽性だった方もいらしゃいます。
https://hochi.news/articles/20200904-OHT1T50308.html
https://news.yahoo.co.jp/articles/285cba944fa20c78eb1ce73a9ba938c289a2f747
<偽陽性>
横浜市では 抗原検査で一旦陽性とでたが 追加でPCR検査を行ったら陰性であったという事例が報告されています。社会 | 神奈川新聞 | 2020年10月19日(月) 11:47
相次ぐ「陽性」取り下げ 抗原検査、簡易迅速も精度低く
体操選手 偽陽性だった。2020年10月31日
新型コロナウイルス偽陽性 感染しておらず
1-2%の確率で 偽陽性
もっと正確な検査が 開発されてほしいと願うばかりですが----
新型コロナウイルス感染症の病原体検査で 陰性とでても 後に陽性と判明することがありますので 2-3日は安静にして経過を観察してください。
(7)療養期間
2類の時は 7日間でした。
2023年5月8日に5類に移行してからは 5日間となります。
コロナ5類移行後の療養期間 “発症翌日から5日間推奨” 厚労省
具体的には、
▽発症の翌日から5日間は外出を控えるほか、
▽症状が軽くなってから24時間程度は、外出を控えることが推奨されるとしています。